【スペシャル企画~後編~】RISE & WIN10周年記念トークセッション「わたしたちの軌跡とこれから」

2025/11/14

みなさん、こんにちは。
RISE & WIN Brewing Co.(以下、RISE & WIN)の友成です。

今回のコラムでは、前編に引き続きRISE & WIN10周年祭で行われたトークセッションの様子をお届けします!

後編では、カミカツビールのこだわりや大事にしていること、KAMIKATZの『Z』について、今後の取り組みについてご紹介しています。

前編をまだご覧になっていない方は、【スペシャル企画~前編~】RISE & WIN10周年記念トークセッション『わたしたちの軌跡とこれから』をぜひご覧ください。

 

前編はこちら

 

カミカツビールが大事にしていること

亜希:「カミカツビールを造り始めてかれこれ10年経ったわけなんですけど、私も7年前に勤め始めた頃は実はビール全く飲めなくて、むしろ苦手ですって感じでした。」

田中:「嫌いだったね(笑)。」

亜希「嫌いでした(苦笑)。苦いからビールは一切飲まず、梅酒オンリーだったんですけど、お客さんに説明しないといけないので、毎日ちょっとずつ飲むのを続けてたんですよ。そしたらある時、あらこれ美味しいぞ!ってなって。やっぱりそれもヴァイツェンだったんですよね。小麦を使った柚香の優しい味わいの白ビール。これいけるっ!ってなって。」

田中:「今回ね、新たにヴァイツェンボックを10周年記念で造っているのでまた皆さんに飲んでいただきたいですね。」

▼十白(ジッパク)



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亜希:「はい、めちゃくちゃ美味しいので。だから私もそういう入り口からクラフトビールの世界に入ってきて、今ではちょっと親バカみたいになっちゃったんですけどやっぱりカミカツビールが一番おいしいなって思っちゃうんです。いろんな愛着もありつつ、でもどうしてこんなに美味しいのか、その秘訣も聞きたいなっていうのはあるんですけど、どうですか?」

田中:「まず水ですよね。上勝は山に囲まれていて、徳島でも一番雨の降る場所なんですよね。雨が降って山に浸透してそれが濾過されて水が湧き出てくるんですけど、日本名水百選みたいな水質とかではなくて、本当に普通の水なんですけど逆に言うと、すごくクリアなんです。ビールを造る時は狙った味にするためにミネラルを調整するんですけど、そもそもここは水が美味しいんです。そう考えると綺麗な水を残すのが本当に大事だと思えますね。」

亜希:「そうなんですよね。この大事な水に恵まれた環境でカミカツビールを造らせていただいたからこそ、今の環境が当たり前ではないってことを感じますね。今あるものが今もうなくなってしまうと、もう二度と戻ってこなくなる。この環境を守っていく、それをどう伝えていくかということが、私たちの一つの役目だなと。」

田中:「有難いですね。そして、やっぱりもう一つは造り手のこだわりを大事にしています。同じものを使ってもビールを造る人によってできるものが全く違います。

最初にビールを造ろうとなった時に、アメリカのブルワーの方に相談したんです。そしたら、クラフトビールを造るには3つの条件があると。一つは造る場所があること、もう一つは造る機材があること、そして最後に造り手がいること。田中さんビール作ったことがあるんですか?って言われて、やったことないと言うと、あー多分無理かもしれないなって。だから教えてよって(笑)。でもなかなかいい返事はなくて…ある時その方と話していたら、田中さんって何の仕事してるんですか?と聞かれて、実は徳島市内の衛生検査の会社で微生物とか食品検査とかそういうのをやってるんです。って伝えたら、急に顔色が変わってじゃあできるかもしれないと言うんですね。」

亜希:「どうしてですか?」

田中:「ビールだけじゃなくてお酒造りは全般そうだと言えるんだけど、ビール造りの8割9割は衛生管理だと。衛生管理が分からないと、いくらテクニックだけを覚えても良いビール造りはできないと。そこからやっとビール造りの話が進み始めました。」

亜希:「微生物と向き合うというところで、私たちの衛生検査を専門にやっているという土台は強みですね。ところで、モーニングサマーとか人気のクラフトビールもありますが、『バレルエイジドビール』も造っていますよね。まだまだ馴染みのない方も多いかと思いますが。」

田中:「バレルエイジドビールは、古い洋酒の樽にビールを入れて熟成させたものなんですが、私たちも8年前にバレルルームをつくって、今はウイスキーを寝かせていた木樽を使ったビールも造っています。木樽を何回も使っていると、木の成分がなくなってしまって普通はそのまま捨ててしまうんですね。でも、その樽にはウイスキーとか洋酒の成分がたっぷりと残っているんです。なので、むしろ我々はそちらの方に魅力を感じて、廃棄するはずだった樽を譲り受け、ビールを寝かせることでもう一度活用しています。」

亜希:「まさに、ゼロ・ウェイストですね!」

『ザ・バレル』シリーズはこちらから

KAMIKATZの「Z」ってなに?

田中:「話が少し変わるんですが、こだわりというところで、私たちこれまでいろんなことをやってきましたけども、ここでやっぱり紹介したいのが、KAMIKATZの『Z』についてです。普通はTSUなんですけど、あえてTZで表現してるんですよね。この『Z』が我々のこだわりの一つなんです。」

亜希:「では、『Z』の意味をお願いします!」

田中:「これはですね、上勝の本当に素晴らしい自然や素晴らしい人たち、文化などいろんなこの上勝の魅力を我々なりの視点でもう一度再醸成して、『Z』にその全てを込めているんです。自分たちなりにこういうライフスタイルがやっぱりいいなって思うものをこの町でまずやってみたりして。」

亜希:「いろいろやってみましたね(苦笑)。」

田中:「はい(笑)。でも環境とかごみのこととかだけではなく、そっちの選択の方がよりいいよねと共感してもらえることを追求して、これまでやってきました。」

 

今後の取り組み

亜希:「ということで、ここまで10年間を振り返ってきたのですが、今後の5年・10年どんな未来を描いていきますか?」

田中:「自分たちでできることはしないといけないということで、数年前から『reRise(リライズ)』という仕組みに取り組み始めたんですけど、この仕組みをもっと広げていきたいと思っています。

例えば、私たちは今ビール造りにおいてどうしても醸造過程で出てしまう麦芽かすなどの廃棄物を微生物の力で細かく分解させて液肥を生成しています。それを畑で土壌活性剤として活用して、麦を栽培する。そして育った麦でもう一度ビールを醸造するといったサーキュラーな仕組みです。」

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▶『reRise』について詳しくはこちらから

 

田中:「我々がやっているこういった活動はまだまだ小さいんですけど、自分ができること・自分たちができるその一歩を踏み出すことがまず大事じゃないかなと思って挑戦しています。最近では、都心のビル内でもこのreRiseの仕組みが取り入れられ、ビルから出た生ごみを液肥化し近郊農場で使ってお米や野菜を育てていただいています。」

亜希:「田舎だからできることではないということですね。」

田中:「そうですね。自分たちが出したごみが、そのままどこに行ったのか分からないというのが実状だと思います。」

亜希:「一般的にはイメージしにくいですね。」

田中:「それが、例えば美味しいお米になって返ってくる。美味しいクラフトビールになって返ってくる、と分かるといいですよね。」

亜希:「そういうところでは、カミカツビールはメディアとして、この取組みを発信しているんですね。」

田中:「そうです。こういうサーキュラーな取り組みが、カミカツビールを通してどんどん都市に広がり始めていますが、これからもこういった活動を続けていきたいと思っています。」

亜希:「私たちも10年間の中で、まさかこういう形になるなんて10年前は思ってなかったですよね。最初はこの町の活性化というか、人が来る仕組みをつくって賑やかにするというために何ができるかなと色々とやってきて。いろいろなアイデアの中からクラフトビールをスタートして。でも、クラフトビールをただ造るだけにとどまらず、サーキュラーな活動もして。」

田中:「そうですね、人口問題とか環境問題とか色々ありますが、自分たちの取り組みが、今の子どもたちやこれからの世代の未来に繋がればと思います。」

亜希:「まだまだ話し足りないのですが、これにて終了とします。皆さまありがとうございました!今後も応援のほどよろしくお願いいたします。」

田中:「ありがとうございました!」

 

RISE & WIN10周年を記念したアニバーサリービール

 

■GAME CHANGER
ゲームチェンジャー

ホップに代わる"新しい何か"をテーマに、徳島県上勝町産『杉木』をアロマとビタリングに使用したチャレンジングなアメリカンIPA。
杉木がもたらす余韻ある苦みとスパイシーな香りに、オレゴン産のトロピカルなホップアロマが重なり合う、飲みごたえ抜群の一杯です。

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■十白
ジッパク

RISE & WIN10周年にちなんで"アルコール度数10%"に仕上げたリッチなヴァイツェンボック。まるでアルコール度数10%を忘れてしまうほどに、爽やかなフルーティーさと柔らかな小麦の口当たりが全体を心地よく包み込みます。

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■WHOLE IN ONE
ホールインワン

徳島の名産「すだち」を丸ごと使い、白皮独特の苦みさえも活かしたブリュットIPA。
限りなくドライに仕上げた軽快なボディに、すだちならではの爽やかな柑橘感をやさしく重ねました。IPAとしては苦味は控えめで、スッキリと軽やかな飲み心地に仕上がっています。

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RISE & WIN Brewing Co.

日本ではじめてゼロ・ウェイスト宣言を行った、徳島県上勝町(※)に拠点を構えるブルワリー。

美味しいクラフトビールを仲間とカジュアルに楽しむ、ただそれだけで美しい環境を守り、社会課題を知る小さなきっかけとなる。RISE & WINはそんな心地良い循環を目指し、ビールを「ゼロ・ウェイスト活動を自分事化するための手段」と捉え、上勝の暮らしや体験に根ざした魅力を発信しています。

 

“JUST DRINK KAMIKATZ BEER” 

美味しいビールを楽しむだけで 「環境にちょっと良いコト」に繋がっている

※上勝町は2003年よりごみの再利用・再資源化に力を入れ、現在では日本屈指のリサイクル率80%以上を実現するに至りました。

 

 

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