【スペシャル企画~後編~】クラフトビールから広がる未来──RISE & WIN10周年記念「reRise IPA 2025」誕生とこれから

2025/08/08

みなさん、こんにちは。
RISE & WIN Brewing Co.(以下、RISE & WIN)の友成です。

RISE & WINは7月より、10周年を記念したスペシャルビール「reRise(リライズ)IPA 2025」を販売しています。

今回のコラム企画では、RISE & WIN代表の田中達也にこのビールに込めた想いや誕生の裏側を伺いました。

前編では、「reRise」に着目し、その取り組みや背景にあるストーリーについてご紹介しています。
そして後編は、「reRise IPA 2025」の誕生とRISE & WINのこれからについてです。

前編をまだご覧になっていない方は、「【スペシャル企画~前編~】クラフトビールから広がる未来──RISE & WIN10周年記念「reRise IPA 2025」誕生とこれから」をぜひご覧ください。

前編はこちら

 

『reRise IPA 2025』が誕生した経緯

友成:だいぶ「reRise」だけでも深堀りできそうですが、、話を『reRise IPA 2025』に戻して―どういった経緯で今回このビールが生まれたのか教えてください。

田中:実は、reRiseビールは今回で2弾目です。
2022年の第1弾では、資源循環への取り組みを象徴する「reRise麦」の存在を分かりやすく伝えるため、モルト感をしっかり味わえるペールエールを醸造しました。

第2弾目となる今回は、より多くの方の手に取ってもらいたいと考え、飲みやすさを重視したIPAを造りました。IPAならではのフレッシュさとジューシーさを表現しつつも、淡色で雑味の少ない「reRise麦」の性質を活かし、ドライでキレのある味わいに仕上げています。
ガブガブ飲んでも飲み疲れしないし、また飲みたくなるような飽きない一杯です。

7月17日に東京・東麻布の直営店「KAMIKATZ TAPROOM」のリニューアルオープンに合わせてお披露目したのですが、すでにお客様からは好評をいただいていて、一杯目飲んでまた最後にもう一杯飲んでくれる方も多いです。

友成:ラベルもゴールドが光っていてカッコイイですね!

 

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『reRise IPA 2025』を飲まれる方へひと言

友成:では、これから『reRise IPA 2025』を飲まれる方に伝えたいメッセージがあればお願いします。

田中:そうですね。まあ今はSDGsとかエコとかこういう環境への取り組みっていろんなところでやり始めていて、ひと昔前に比べると身近な存在にはなって、取り組む人も多くなってきてはいますよね。でも、カミカツビールとしては、まずはやっぱりおいしく楽しんで飲んでもらえたら、一番いいかなと思います。そして、ビールを通して環境のこととか、ごみのことを自分ごととして考えるきっかけにしてもらえたらなと。

サステナブルだから、環境にいいからというよりも、美味しいから手に取ってもらえる。その先に環境にちょっといいことがある。その流れに自然と巻き込まれて、共感がうまれ、仲間が増えていくと嬉しいですね。

友成:まさに今日着てるTシャツ「JUST DRINK KAMIKATZ BEER」ですね!

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クラフトビール造りをはじめた背景

友成:RISE & WIN10周年を記念して造られた『reRise IPA 2025』ですが、そもそもどうしてクラフトビールを造ることになったのですか?母体の会社は衛生検査をしていると先ほども話にありましたが―

田中:まず、カミカツビールの拠点である上勝町との出会いは、地域おこしとして上勝町の魅力を発信して人を呼び込むために協力してほしいと当時の町長から話をいただいたのがきっかけです。そこから、ゼロ・ウェイスト活動の存在を知って、これだと思いました。

それで、どうしてクラフトビールを造ることになったかというと、13年前にポートランドに視察に行って、そこでクラフトビールの可能性を感じたからです。日本ではまだ、クラフトビールもそんなに知られていない当時、ポートランドの町の生活にはクラフトビールが溶け込んでいて、町内のアイスクリーム屋やベーカリーとブルワリーのコラボがあったり、サワー専門のブルワリーがあったり。クラフトビールを通して町全体が盛り上がっているように見えました。

なので、上勝町を発信をするためにクラフトビールをピックアップして、上勝町でブルワリーをはじめることになったということです。

私の道楽でやってるんじゃないかって聞かれることがあるんだけれど、皆さん上勝町に来られて施設や取り組みをご案内すると、「そうじゃない、本気でやっている」と驚かれることもしばしばあります。もちろん、楽しいですが本気で楽しみながらやっています。楽しいとかカッコイイとか面白いとか、ポジティブな感情を入り口に興味を持ってもらいたい。一方で、しっかりと真面目に伝えることも大事。難しいけれどそこのバランスが良いんだと最近は周囲のフィードバックを聞いて思っています。

 

今後の挑戦とRISE & WINの在り方

友成:ありがとうございます。では、あっという間でしたがいよいよ最後の質問に入ります。

これまで、廃棄対象や規格外の食材をカミカツビールに活用する他、reRiseにも取り組んでいますが、今後はどういったことに挑戦したいですか?

田中:上勝町と出会い、これまではこの町の魅力をを多くの人に知ってもらうためにクラフトビールをメディアとして、想いをのせて発信してきました。もちろんこれまでの取り組みは今後も続けていきますが、13年前にクラフトビールを選択したように、先の未来を自分たちなりに想像して先取りしていく必要があると感じています。

今や日常的に気軽に買えるようになったクラフトビールですが、日本のクラフトビールを考えたときに、海外輸入の原料に頼りすぎているところが気になっています。もともと日本の気候に適していないのもあるけれど、気候変動でさらにホップの栽培も難しくなっているし、でも原料であるホップはビールの構成に欠かせない要素ですよね。じゃあ、需要が増える一方で生産量は減少し、高騰していくホップに対して、我々はどうするのか?IPAも今はどこにでも手に入るけれど、そうではなくなっている時代になるんじゃないかなと。
クラフトビールを造っているブルワリーである以上、この課題に向き合っていかないといけない、やっぱりホップに代わるものを見つけないといけないと思うんです。

そこで、今注目しているのが「木」を使うこと。日本は森林国家だけれど、今はそのほとんどが活用されていない。だからこの際に活用できないかと。これからもっと研究しないといけないけれど、その機能や成分、苦味とか渋みとか香りとかを抽出していって、いずれはホップの代わりになるような、日本の木の可能性を探っています。

もう一つは、クラフトビールの製法。原料についてだけでなく製法にもアプローチしていくことで、クラフトビールの可能性や価値をもう少し広げられないかと考えています。

▼第二工場STONEWALL HILLのラボラトリーに書かれているアインシュタインの名言「Imagination is more important than knowledge.」

友成:身近なものが活用できて、課題も解決できるおいしいクラフトビールってことですね。

田中:はい、我々はクラフトビールを造っているブルワリーではあるんだけど、クラフトビールだけを売っているのではないです、ということが今回のこの記事で伝わるといいなと思っています。

クラフトビールを通じて、いろんな社会の課題とか、もっとこうしたらいいんじゃないかみたいな気づきや問いをつくっているのであって、クラフトビールだけを造っているのではない。町おこしだけをしているわけでもない。新しいライフスタイルや自分たちのこれからの暮らしにもっと豊かさを求めていきたいってなった時に、我々には何ができるのかっていうことを考えながらやっていきたいです。

友成:一杯のクラフトビールをきっかけに、気づきや共感が生まれ、人とのつながりも自然と広がっていきそうですね!

田中:そうですね。きっかけとしての一杯のビールがあって、そこで楽しくみんなで飲んで、話しながら「やっぱこっちの方がいいよね」って思えるようなRISE & WINでありたいと思っています。

友成:ありがとうございます。まだまだ深堀りして聞きたいところではありますが、今日はこのへんで。お疲れ様でした!

田中:お疲れ様でした!



最後に

2015年にスタートして以来、たくさんの方々に支えていただきましたこと、あらためて心より感謝申し上げます。

私たちは10年前、徳島県上勝町を拠点にマイクロブルワリーをスタートし、最初はルーヴェンホワイト・ペールエールの2種類のカミカツビールから始まりました。

当時はイベントや営業など、ひたすら日本中を駆け回る日々で、そこから5年が経ち、7年が経ち、今年でやっと10年目。たくさんの出会いと支えに、ただただ感謝の気持ちでいっぱいです。

これからも美味しいカミカツビールを片手に「乾杯!」できるよう、さらに精進してまいりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします!


reRise IPA 2025

『reRise IPA 2025』は、パッションフルーツや柑橘を思わせる、トロピカルで奥行きのある香りと通常のIPAよりもドライな飲み口が特徴的です。

淡色で雑味の少ない「reRise麦」の性質を活かし、暑い季節でも飲み疲れしないドライでキレのある味わいに仕上げつつも、IPAならではのフレッシュさとジューシーさを表現し、しっかりとした飲みごたえも兼ね備えています。


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田中達也(たなか たつや)

徳島県出身。食品安全のための衛生検査・分析、コンサルティング事業等を手がける。2011年~上勝町での事業に参入し、RISE & WIN(2015)、上勝町ゼロ・ウェイストセンターWHY(2020)の設立・運営をはじめとし、ゼロ・ウェイストタウンとしてのまちづくりや研修事業、サステナブルソリューション”reRise”の開発等、幅広くソーシャルビジネスを展開する。

RISE & WIN Brewing Co.

日本ではじめてゼロ・ウェイスト宣言を行った、徳島県上勝町(※)に拠点を構えるブルワリー。

美味しいクラフトビールを仲間とカジュアルに楽しむ、ただそれだけで美しい環境を守り、社会課題を知る小さなきっかけとなる。RISE & WINはそんな心地良い循環を目指し、ビールを「ゼロ・ウェイスト活動を自分事化するための手段」と捉え、上勝の暮らしや体験に根ざした魅力を発信しています。

 

“JUST DRINK KAMIKATZ BEER” 

美味しいビールを楽しむだけで 「環境にちょっと良いコト」に繋がっている

※上勝町は2003年よりごみの再利用・再資源化に力を入れ、現在では日本屈指のリサイクル率80%以上を実現するに至りました。

 





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