
みなさん、こんにちは!
RISE & WIN Brewing Co.(以下、RISE & WIN)の友成です。
RISE & WIN 10周年祭(10月12日・13日)にお越しくださった皆さま、そして支えてくださった皆さま、本当にありがとうございました!
無事に終了できましたこと、スタッフ一同心より感謝申し上げます。
今回のコラムでは、RISE & WIN10周年記念として、このイベント中に開催したトークセッションの様子をお届けします!
登壇したのは、代表の田中達也と上勝店店長の池添亜希。
「わたしたちの軌跡とこれから」をテーマに、10年間の挑戦や悩み、そして次の未来についてざっくばらんに語り合いました。
ここでしか聞けないストーリーがぎゅっと詰まったセッションとなっております。
まず前編では、私たちが拠点とする徳島県上勝町についてクイズ形式で楽しくご紹介しています。RISE & WINをすでに知ってくださっている方も、はじめましての方も、ぜひご覧いただけると嬉しいです!
乾杯の掛け声は『JUST DRINK KAMIKATZ BEER』

亜希:「この度は、RISE & WIN10周年のイベントにお越しいただき本当にありがとうございます!」
田中:「ありがとうございます!」
亜希:「私RISE & WINの池添亜希と申します。そして、弊社代表の田中達也です。」
田中:「田中です。よろしくお願いします。」
亜希:「さっそくですが、皆さまと本日周年祭を迎えられたことに感謝して乾杯したいと思います!」
田中:「いいですね!」
亜希:「私たちには、『JUST DRINK KAMIKATZ BEER』っていう掛け声があるんです。」
田中:「また後でもお話しますが、我々上勝町でクラフトビールをやっているんですけど、環境への取り組みを行っている町でもあります。今環境のことが日本でも大事なことだというのは皆さまご存知だと思うんですけど、自分ごとにするのってすごく難しい面もあると思うんですね。特に、ごみのこととか。
それらを深く難しいことばっかりだと考えるのではなくて、まずは飲んで楽しんで、よりよい未来を自分たちで話し合うきっかけ作りにできたらいいなと思って、『JUST DRINK KAMIKATZ BEER』というのを、私たちカミカツビールのスローガンとしています。」
亜希:「ということで、今日も皆さまとJUST DRINKさせていただき、スタートしたいと思います!」
田中:「では行きます!『JUST DRINK~!!』」
10年間を振り返る前に「上勝クイズです!」

亜希:「それでは、さっそく10年間を振り返っていきたいなと思うんですけど、これまでの10年間早かったですか?」
田中:「あっという間でしたね。」
亜希:「この10年間ってだいぶいろいろ世界も変わってますよね。」
田中:「そうですね、変わってきたかなと思います。で、ちょっとその話の前に、上勝に初めて来られたという方もいらっしゃると思うので、上勝ってどんなところなのかっていうのをまず見ていきたいなと。いきなりクイズです!」
亜希:「おっ!!」
Q1. 上勝の人口はどれくらい?
田中:「上勝町の人口はどのくらいでしょうか?」
亜希:「四国で人口が最も少ない町のひとつと言われていますよね。」
田中:「はい、そうですね。実は、現在1,299人(2025年10月1日時点)なんです。」
亜希:「改めて数字を見るとやっぱり少ないですね。」
Q2. 上勝の高齢化率はどれくらい?
田中:「はい、では続きまして高齢化率について。お年寄りが非常に多いという話なんですが、どのくらいの割合でしょうか?」
亜希:「65歳以上の方ですね。」
田中:「はい、答えは55.3%です。上勝はこの65歳のお年寄りが半分以上なんですが、7%を超えると高齢社会、14%を超えると高齢化社会、21%を超えると超高齢化社会と言われています。なので、上勝はぶっちぎりで50%を超えてるんですけど、日本全体でも29.4%なので超高齢化社会に入ってるということです。なので上勝だけではなくて、我々みんな超高齢化社会にいるということ。ちなみにですね、ベトナムは9%ぐらいです。その隣のカンボジアは6.9%。やっぱりそれだけの差があって日本では高齢化が進んでいるということですね。」
Q3. 上勝の子どもの人数はどれくらい?
田中:「はい、次は子どもの数についてですね。上勝の保育園に通っている子ども、そして小学生、中学生は合わせてどのくらいでしょう?」
亜希:「意外といるんですよ。増えていってます。」
田中:「はい、今は約90人くらいの子どもがいますよね。」
亜希:「そうですね。その年にもよるんですけどね。私も上勝で二人の息子を育てていて、小学5年生と3年生なんですけど、今1クラスだいたい7~8人くらい。」
田中:「小学生だと全体で?」
亜希:「今年は38人です。保育園児と小・中学生みんな足しても100人未満ですね。高校生になると上勝には高校がないので、町を出て寮生活になります。」
Q4. 上勝の最盛期の総人口はどれくらい?
田中:「では、住民が一番多かった最盛期の人口はどれくらいだったでしょうか?」
亜希:「どのくらいかな?」
田中:「実は、約6,200人なんですね。1950年頃って林業がものすごく栄えてたんです。その頃は就業者も沢山いました。」
Q5. 上勝の山林面積はどれくらい?
田中:「上勝はかつて林業で栄えた町ということで、周りにも山がたくさん見えるかと思います。どのくらいの山林面積があると思いますか?」
亜希:「どこを見ても緑が見えますね。」
田中:「ほぼ90%が山なんです。平地面積(住んでいるところ)が大体2%なので、まさに山の中に暮らしていると言えますね。昔は山にあった木を活用して営んでいたんですが、次第にその木が全く活用されなくなって、林業家はもうこの町に一人もいないということです。木の活用もなかなか進んでいないので、非常に問題となっているんです。」
Q6. 上勝のゼロ・ウェイスト宣言はいつ行われたか?
田中:「はい、続きましてゼロ・ウェイストの話ですね。上勝はゼロ・ウェイスト宣言を日本で初めて行った町ですが、何年に行われたでしょうか?」
亜希:「私たちがRISE & WINを始めるより前の出来事です。」
田中:「答えは2003年です。今から22年前にゼロ・ウェイスト宣言というのが発表されました。これが2020年までの目標だったので、2021年に新たに宣言がされています。簡単に言うとゼロ・ウェイストっていうのはごみのことだけじゃなくて、私たちの暮らしを豊かにするんですよということ、それからいろんなチャレンジをやっていこうということです。もう一つは、リーダーをこの町から生み出すという内容です。」
クラフトビールを始めるきっかけ

亜希:「上勝のこともよく知っていただけたと思うので、そろそろクラフトビールの話を聞きたいと思います!」
田中:「そうですね、RISE & WINは2015年からクラフトビールを造っているんですが、10年前ってまだクラフトビールと言うと、世間一般的にはよく分からないと言われてた、そんな時代でした。」
亜希:「観光地で売っているご当地ビール、お土産物とかそんな感じでしたよね。」
田中:「30年前くらいに地ビールブームというのがあった時に、初めてヴァイツェンを飲んだんですが、それがクラフトビールとの出会いでした。すごいフルーティーで我々が知ってるあの黄色くて苦いのとは全く違う味わいで感動したのを覚えています。ビールの美味しさがまだ分かっていなかった20代の時だったんですが、初めて美味しいと思った。」
亜希:「でもそれって30年前だから、クラフトビールなんて全然なかったですよね。」
田中:「なかった、ほとんど地ビールと呼ばれるものでした。」
亜希:「でもそこからビールラバーになってビール造ろうってなったのか、そもそもなんでこの町で?」
田中:「クラフトビールを始めようってなったのは、その地ビールを知ってからしばらく時間が経つんだけど(当初はまだ上勝にも出会えていなかったので)。ある時、上勝町からこれからどういう町づくりをしていったらいいのかという話があって、上勝を訪れる機会がありました。とにかく人口減少や高齢化の問題が大きかったので、一人でも多くの方にこの町を知ってもらって訪れてもらうには、というところから考えていました。
じゃあ何があったらこの町に来たいと思うんだろうか、と考えていた時に出張で行った東京とかの飲食店でクラフトビールありますというのを掲げてる店がちらほら出てきはじめているのを見ました。その時に、初めてクラフトビールっていう言葉を知って、色々調べていたらアメリカのポートランドの情報にたどり着きました。
ポートランドは、アメリカの西海岸にあるオレゴン州の小さな町でそんなに都会でもないのに、そこにクラフトビールを求めて世界中から人が来てるということでした。なんでそんなことになってるんだと不思議に思って、見ているともう一つはポートランドっていう街が、当時コンパクトシティとしてどのように町づくりをしたのかというお手本になっていました。
それで実際に行ってみたんですけど、そしたらブルワリーがあちこちにあって、ビールを通じてすごくコミュニケーションが生まれていたんですね。仕事帰りも友達や家族とクラフトビールを楽しんでいました。それでいて、すごくオシャレなんですね、デザインもめちゃくちゃかっこいい。クラフトビールがあって、こういう面白い街をつくるとそこに人が集まってくる、そんな仕掛けがポートランドにはあると気づいたんです。
これはもしかしたら上勝に持ってきたら、同じように楽しいことができるかもしれない。このポートランドとの出会いというのが今に至るきっかけでした。」
亜希:「そうなんですね!ポートランドとの出会いが大きなヒントになって、この町づくりを参考にしたら、これはもしかすると過疎化が進む上勝で人が来る仕組みができるのではないか、というところからだったんですね。」
田中:「それともう一つ、ビール用のマイボトル『グラウラー』と呼ばれるものを当時のポートランドではみんな持っていたんですよ。自分の欲しいビールが見つかったらグラウラーに入れて、家族や友達のとこに持って行ったりして。だからグラウラー文化、特にビールの量り売りっていうのがまだ日本にはなかったというところで、上勝のゼロ・ウェイストの取り組みと繋がりました。」
亜希:「私たちも最初は上勝で量り売りの店をやっていましたもんね。」

田中:「そうですね、ここで調味料からお米から、ナッツ、パスタ、スパイスとかドライフルーツまで。自分で容器を持ってきて欲しい分だけ買って、無くなったらまた洗った容器を持ってきて。ごみとなるパッケージがほとんどでない。それが上勝のゼロ・ウェイスト取り組みとポートランドで見たビールの量り売りと重なった。ここでビールの量り売りというものを通じて、この町のやってきたゼロ・ウェイストと楽しさ、ここに来る意味っていうものをどうやって繋いでいくかというのが、今のRISE & WINに至っています。」
亜希:「いろんなヒントが重なって、今ここ上勝町にクラフトビールのお店を開いたということですね。」
田中:「これが『JUST DRINK KAMIKATZ BEER』になっているんです。難しいことを考えるんじゃなくて、ちょっと環境にいいこと、自分にできることって何だろうって考えるきっかけづくりですね。無理してあれもこれもってやってしまうのではなくて、できることを一つでもやることがやっぱり環境問題にとってすごく大事だと私は思っています。なので、まずは楽しんでやることかなというでこの『JUST DRINK KAMIKATZ BEER』っていうのをここでやろうと決めました。」
前編はここまでとなります。いかがでしたでしょうか?
後編では、カミカツビールのこだわりや大事にしていること、KAMIKATZの『Z』について、今後の取り組みなどをご紹介します。
RISE & WIN10周年を記念したアニバーサリービール
■GAME CHANGER
ゲームチェンジャー

ホップに代わる"新しい何か"をテーマに、徳島県上勝町産『杉木』をアロマとビタリングに使用したチャレンジングなアメリカンIPA。
杉木がもたらす余韻ある苦みとスパイシーな香りに、オレゴン産のトロピカルなホップアロマが重なり合う、飲みごたえ抜群の一杯です。
■十白
ジッパク

RISE & WIN10周年にちなんで"アルコール度数10%"に仕上げたリッチなヴァイツェンボック。まるでアルコール度数10%を忘れてしまうほどに、爽やかなフルーティーさと柔らかな小麦の口当たりが全体を心地よく包み込みます。
■WHOLE IN ONE
ホールインワン

徳島の名産「すだち」を丸ごと使い、白皮独特の苦みさえも活かしたブリュットIPA。
限りなくドライに仕上げた軽快なボディに、すだちならではの爽やかな柑橘感をやさしく重ねました。IPAとしては苦味は控えめで、スッキリと軽やかな飲み心地に仕上がっています。
RISE & WIN Brewing Co.

日本ではじめてゼロ・ウェイスト宣言を行った、徳島県上勝町(※)に拠点を構えるブルワリー。
美味しいクラフトビールを仲間とカジュアルに楽しむ、ただそれだけで美しい環境を守り、社会課題を知る小さなきっかけとなる。RISE & WINはそんな心地良い循環を目指し、ビールを「ゼロ・ウェイスト活動を自分事化するための手段」と捉え、上勝の暮らしや体験に根ざした魅力を発信しています。
“JUST DRINK KAMIKATZ BEER”
美味しいビールを楽しむだけで 「環境にちょっと良いコト」に繋がっている
※上勝町は2003年よりごみの再利用・再資源化に力を入れ、現在では日本屈指のリサイクル率80%以上を実現するに至りました。

